第2章 それは恋。きっと恋。

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呼ばれて飛び上がるとはまさにこのこと。 驚き過ぎた猫のように、私の身体はビクッと反応した。 顔を向けるとすぐ近くからママが私を見詰めていた。 あ、いや・・・! 覗かれちゃう!? 私は慌てて両手で頭を覆い隠した。 そんなことしても意味があるのかどうかわからないけど、しないよりはマシ。 「どうしたの?ボーっとして。何か考え事してた?」 のんびりとしたママの口調と、キョトンとした目つきから判断すると、ママは私が妄想していたことは視えていないようだ。 「別に・・・」 しどろもどろを隠すには便利な三語を使う。 ママだけはどういうわけか小さく納得したように頷いて微笑んでくれる。 「はい、これ。お気に入りのハンカチ、パパがアイロンかけてくれてたわよ」 ママから渡されたのは、私の一番のお気に入りの白と水色のストライプのハンカチだ。それを受け取って、私は制服のスカートのポケットに突っ込んだ。 ピンポーン、と玄関でチャイムが鳴った。 ちずがようまを迎えに来たんだ。
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