第2章 それは恋。きっと恋。

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佐藤ちずは小学校時代に出来た唯一無二のトモダチだった。 彼女は平均的よりもかなり大柄な体をしていて、手足も長くスタイルが良い。陸上で鍛えられた肢体はしなやかな曲線美といったところだ。顔は、まぁ個人の好みにもよるけど、私の目から見ても可愛い方だとは思う。とびきりの美人ではなくても、彼女には他では見ないシリアスな影があって、わかる人にはきっとわかる魅力が備わっている。 ちずは中学の三年間は隣町で過ごした。 両親が再婚したのにまた離婚したせいだ。 子供にとってはかなり迷惑な話だとは思うけど、うちのように両親が仲良過ぎるのもかえって珍しいみたいで、ちずと私の間で「足して二で割りたいよね」って言ってる。 そんなこんなで、ちずは高校をわざわざ田舎の過疎化進行中の公立高校に選んで通ってくることにしたというかなりの変わり者だ。 その理由は明白で、彼女はずっと昔から燿馬に片思いしている。 彼女の一途な片思いは8年目になる。 それはまるで、ママとパパの10年越しの初恋を実らせた伝説とリンクしている気がする。 だけど、燿馬はちずに一ミリも特別な感情は持っていない。それが私には手に取るようにわかってしまうから、話を聞いていてとても辛い気分になってくる。
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