第2章 それは恋。きっと恋。

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燿馬は鈍すぎる。 女心なんて微塵も考えられない。 その上、顔だけはイケメンなパパに似てしまって「一目惚れられ率」が異常に高い。 その目立つ容姿とは裏腹に、あいつの性格はとてもじゃないけど一般的な感覚がまったく通用しないから、ちょっと会話すれば大抵の女子は目が覚める。 覚めないのも稀にいるけど。 ちずはその代表みたいな例だ。 取り敢えず離れていた3年間の空白を埋めたくて、とちずから相談された私が提案したのは朝一緒に学校まで歩くこと。自然な会話ができるようになるまで、リハビリのつもりでがんばるようにとアドバイスをしてみた。 その自然な会話というものが燿馬に出来るのかは、私は保証できない。 あいつは基本、他人に興味がないからだ。 相手にも感情があることをまるで知らないかのような自由過ぎる発言と態度。 いつまで幼稚園児みたいな兄を、私はとても情けないと思ってしまう。
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