第2章 それは恋。きっと恋。

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そんなことを考えている間に、先に出発した燿馬とちずの後姿を見送って私は時間をずらして家を出た。 「恵鈴。お前のスカート長過ぎないか?」と、背後からパパが声をかけてきた。 「これが校則の規定通りの長さなの。ひざ下10センチよ」と心の中で返事をして、実際は無言でやり過ごした。 だって、そうしないと。私が普段腹の中でどんなにパパにダメ出ししているのか、バレそうだから・・・。 パパは確かにハンサムだし、40代後半には視えない。 むしろまだ30代ぐらいの外見をしているんだけど、言動が若すぎて時々見苦しいんだもん。 支離滅裂というか、直観主義というか、理屈なんて関係ないっていう生粋の芸術家タイプで危なっかしい。 それがワイルドだと勘違いしているママの友達が、パパのことをカッコいい旦那さんとチヤホヤするけど、平気でおならするし、平気で私のパンツやブラを洗って私より綺麗に干すし、サイズの見立てなんか頼んでないのに「お前、絶対これもう小さいだろ?新しいのをママと買っておいで。胸は大きいに越したことはないんだ」ってセクハラ発言もさらりと言う。 そういうことを燿馬の前で堂々と言われた日には、パパとはいえ本気で殴り倒したくなるんだよ。 殴ったことなんて一度もないけど。
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