ぼくは犬

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 なかに侵入したとたん、ぼくはびくりと体をこわばらせました。  ぼくと同じ種類の犬が見つめていたんです。茶色まじりの白い毛むくじゃらのやつで、鼻の左右から長い毛をひげみたいに垂らしています。  なんてむさくるしいやつだ。ぼくは相手に腹が立ちました。この場から追いはらおうと激しくほえると、相手もほえ返します。ぼくはそいつに飛びかかり、鼻を痛いほどぶつけました。  ぼくの声を聞きつけ、俊平くんが急いでやって来ました。  怪しい犬の侵入を警告しようと、なおもほえたてます。すると俊平くんが大声で笑いだしたので、ぼくは拍子抜けしてしまいました。  それは浴室の鏡にうつった自分の姿だと理解するのに時間がかかりました。  ぼくが歯をむきだすと相手もそうします。ぼくが尻尾をふると相手もまねします。  ようやく納得しました。  あのむさくるしいやつが自分だったと知り、ずいぶんショックでした。あとで事情を知ったお母さんにも笑われました。  こうしてぼくは、小谷家の一員になったんです。  
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