プロローグ

1/1
前へ
/12ページ
次へ

プロローグ

「二人だけの秘密だよ」 そう言って彼は小指を差し出す。私達は指切りをした。  *  私の名前は琴里(ことり)。 どこにでもいる、でもどこにもいない、特別な17歳。この春で高校3年生。顔は普通。そんなに可愛くもないけど、そんなに酷くはないと思いたい。勉強はできるほうかな。運動神経はあまりよくない。どちらかというとちょっと大人しい。好きなものは、音楽と読書。年齢=恋人いない暦。 私が誰かを愛することができる日がいつかはくるのだろうか。誰かに愛される日がいつかはくるのだろうか。不安もためらいもない、確かな結びつきと信頼のある日が訪れるのだろうか。この春で私は、何か変われるかな。わからないな。 この話は、そんな私を少し変えた秘密の話だ。とても信じてもらえないかもしれない。妄想が具現化したのではないかと思ったりする。たった一週間位の話。夢みたい、でも夢じゃない。今からあなたに話すのは、私を少し可愛くした、恋の歌と春の物語。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加