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 公開放送の翌日の月曜日。学校が終わり家に帰ると、ラジオの公開放送で当たったポスターが届いていた。わくわくしながら包みを開け、ポスターを見る。新しいアルバムのジャケットと同じ写真のポスター。右下にサインが入っている。すごく嬉しい。  ポスターからはらりと小さなメモが落ちる。メモには「届いたら電話ください。×××‐×××‐×××」と電話番号が書いてあった。到着したかの確認かな?ちょっと不思議に思ったけど、私はその番号に電話をかけてみることにした。  電話のコール音が耳に、全身に響く。電話が繋がり、私は自分の名前とポスターが届いたことを伝えた。 「無事届いてよかったです」電話の相手は答えた。その瞬間私は分かってしまった。その声の主が。 「あっあの、あの、もしかして、ヨシ君、じゃないですか」私が彼の声を聞き間違えるはずがない。 「そう!この前のラジオの公開放送はありがとね」私は驚きで一瞬声が出なくなった。私のことを覚えてくれている。 「こ、こちらこそありがとうございました」 「ことりに話があってメモを入れたんだけど、今ちょっと立て込んでて・・・また明日、いいかな?」 「は、はい。」 「じゃあまた明日」  そして電話は切れた。  私はよくわからなくて混乱していた。電話がヨシ君と繋がったこと、明日かけ直すということ。なんだ、今の。夢じゃないかな。話ってなんだろう。もしかして冗談かな。そもそも本当にヨシ君かな。何かのドッキリ? もしかして携帯番号ゲットできた?でもとてもじゃないけど、私からはかけられないな。でも、いい声だったな。そんなことをぐるぐる考えているうちに明日になった。  翌日は早起きした。ラジオを聴きながら支度をしているとラジオからニュースが流れた。ヨシ君が怪我で入院したという内容だった。  私が机に突っ伏して落ち込んでいると何かが私の頭をぽんぽん、と優しくなでた。顔を上げて私は目を疑った。 目の前に、ヨシ君がいる。そして口を開く。 「来ちゃった!」 私は驚いて何も言えなくなった。 「俺のこと見える?」そう聞かれ私はゆっくりと頷いた。 「よかった。俺のこと見える人がいて。みんな全然見えてないみたいで」 私は状況が理解できない。どう見てもヨシ君がいる。彼はあたふたする私を見て微笑んでる。 「また明日、って言っただろ」いや、確かに言ったけど、電話じゃなくて会いに来るなんて思ってなかった。 「俺さ、幽体離脱しちゃったみたい」彼はとても明るく説明した。 「ことりの電話切った後で、階段から滑り落ちて、頭を打って気を失ったんだよね、で、気が付いたら肉体と魂が別れていたんだ」  幽体離脱といっても、幽霊じゃないから、足もあるし、ただ普通の人よりも、オーラというか生気というか何かが違う感じはする。でも、私に触れた時の感覚もちゃんとあった。 「で、体に戻れないんですか?」私はなんとか話す。 「きっとしばらくすれば戻れる気がするんだけどな~、そんなに心配しないで。幽体離脱で死にはしないよ。神様がくれた休日。最近忙しかったから。こんな経験めったにできないよ」いたずらっぽく彼は笑った。お茶目な人だ。 「でも、念のため、戻れる方法を一緒に探してくれないかな?俺のこと見えるのはことりだけみたい。ことりだけが頼りなんだ」両手を合わせて頼み込まれる。 「いえ、あの、そんな、私は大丈夫ですけど、私でいいんですか?」私だけが頼りだからなんて、特別な気がしてなんだか嬉しい。 「もちろん」 「私で、よければ、よろしく、です」私はどぎまぎしながら答える。ありがとう、とヨシ君は私の両手を握る。私は硬直してしまう。 「じゃあ、決まり。戻れるまでここにいさせてもらう代わりに、ことりの守護霊としてピンチの時は助けてあげるよ。それと、このことは、二人だけの秘密だよ」 そう言って彼は小指を差し出す。私達は指切りをした。 彼は、自分の性格をマイペースって言っていた、本当にそうだ。上手く纏められてしまった。 一体これからどうなるのだろう。でも、とりあえず、学校に行かなくちゃ。
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