第1章

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「お買い上げ、ありがとうございました!」 「それじゃあ、葵ちゃん。また、来るわね」 「はい!」 常連のおばあさんを見送るために葵は店の外まで出た ここは小さな花屋「カスミソウ」 カスミソウには「感謝」という花言葉があり、お客様にありがとうを伝えるためにつけたらしいと父親が言っていた そして、この「カスミソウ」は父親の代で3代目になる そのため、常連さんも多く存在し、地域の人に愛されるお店となった 「今日も、たくさんお客さん来たなぁ」 学校が春休みで朝から店の手伝いをしていた葵は椅子に座り、一息ついた もう、こんな時間か・・・ 時計の針は午後3時を知らせていた 「葵、おやつ食べるかい?」 「あ、兄ちゃん!今日はなに?」 カウンターの裏にある扉から顔を出したのは、兄の棗だった 「今日はこの間いただいたおはぎだよ。店番変わるから、休憩しておいで」 「ありがとう!」 葵は棗にエプロンを渡し、家に入った キッチンにつくと、テーブルにはきな粉やあんこ、黒ゴマなどいろいろな種類のおはぎが入っていた 葵は自分のマグカップに緑茶を淹れ、小皿と箸をもって椅子に座る 「いただきます」 そっと手を合わせ、小さく言うと、葵はきな粉と黒ゴマのおはぎを取った もぐもぐとそれらを食べながら、テレビをつけ、ニュースを眺めた
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