第1章

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「はい、それじゃあ、葵君、今課題持ってくるから、ここで待ってて」 そういって、先生は出て行った 「・・・はぁ、なんでだよぉ・・・」 涙目になりながら、葵は机に突っ伏した 「試験前もちゃんと兄ちゃんに教えてもらったし、試験中も教えてもらってたのに、なんでぇ・・・」 頭をぐりぐりと机にこすりつけていると、突然、教室のドアが開いた 先生が返ってきたのかと思い、顔を上げると、そこには背の高い男子が立っていた このクラスの子かな・・・? 扉の所に立つ男子は、すっと葵を横目で見る 「なぁ、あんた、追試の人?」 「え、あ、はい・・・」 「先生は?」 「今、課題取りに行ってて・・・」 「そ、じゃあ、かえ」 「帰らせないわよ!」 「いでっ!」 ちょうど帰ってきた先生に男子生徒は頭をはたかれた 「なにすんだよ!」 「なにすんだよ、じゃないわよ!追試に遅れてきたうえに、無断で帰ろうとして!」 「いいじゃねぇかよ、別に・・・」 「よくありません!今からでも、追試受けなさい!」 葵はポカーンとそのやり取りを見ていると、男子生徒はまた、葵を横目で見た そして、先生の持っている課題に目をやった 「なぁ、先生。それ、こいつの課題?」 「そ、そうだけど、それが?」 男子生徒は葵の隣に立ち、葵の肩に手を置いた 「じゃあ、俺がこいつに教えてやるよ。追試に落ちるなんてよっぽどだしな。それに、俺がそんなに頭悪くないこと、先生も知ってるだろ?」
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