あたしの秘密

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「あ。沙弥、今ニヤっとしたでしょ」 と突然、まなみんがピシリ指を差して覗き込んできた。 「し、してないよ!」 すぐにあたしは抗議する。 「ほんとにー?」 「ほんとよ!」 ……いや、ちょっとはしてたかもしれないけど。 もしそうだとしてもしょうがないじゃん! じっと眼差しを送っていると、まなみんが小さく息を吐いた。 「じゃ、そういうことにしといてあげる」 ……もぉ、まなみんの意地悪。 勝ち誇ったような笑みを見せられ、あたしはぷくっと頬を膨らませた。 その直後、涼子ちんが両手を胸にあて、そろりと口を開く。 「たしかに昨日のサーヤ、いつにも増してステキな歌声だったわ……」 「あ、涼子観たんだ」 「ええ、当然よ。そういう愛実ちゃんも観たんでしょう?」 「まあ、そうだけど」 ふたりが話しているのは、昨日やってた音楽番組のことだ。 毎週火曜の夕方に放送されているそれは、その都度変わる5組のゲストアーティストによって成り立っている、人気番組。 そして、昨日そこにゲストとして登場したのがサーヤだった、というわけなんだけど……。
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