“沙弥”

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「これまで以上に努力しろ。お前ならきっと、うちの事務所を背負ってくれる。……俺は信じてるよ」 「社長……」 真っ直ぐな声と優しい瞳。 向けられた陽だまりみたいなそれに、途端に胸が熱くなった。 「本当に、ありがとうございます」 社長はあたしのことを必要としてくれてる。 こんな、ワガママ極まりないあたしのことを。 そう思うと、ただ“ありがとう”なんて言葉じゃ足りない想いが湧いてくる。 だけど。 だからこそ。 あたしはあたしにしかできないことをやって、社長に、みんなに、感謝の気持ちを届けたいんだ。 「あたし、絶対に社長の期待に応えられるような、素敵なアイドルになってみせます。……だから。これからも“沙弥”を、よろしくお願いします!」 しっかりと、一言一言を噛み締めるようにあたしは言った。 すると、すぐに温かい眼差しが降ってきて。 「こちらこそな。ガッカリさせないでくれよ?」 「はいっ!」 絶対になってみせますから。 あたしは溢れる感情を、力強く声にのせたんだ。
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