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「……よかったぁ」
見ると、涼子ちんの目にはじんわりと涙が浮かんでいた。
……涼子ちん。
その様子につられてか、ぐっと喉の奥が苦しくなる。
込み上げてくるものを必死に抑え込みながら、涼子ちんをぎゅぅっと抱きしめる。
直後、優しい温もりが、あたしと涼子ちんをまとめて包み込んだ。
「ほんとよ。私たちがどれだけ心配したか」
心地いい響きが、耳許に落とされる。
ちょっぴり、くすぐったいけど。
「ごめんってばー」
とてつもない愛おしさを感じて、ならなかった。
「あのね? 実は、あの時……」
ふたりと離れながら、声を潜めて言う。
すると、目の前に寄せられた2つの耳。
あたしはそこへ、こっそりと語りかけた。
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