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「「ええっ!?」」
事のあらましを全部話した途端、驚きに満ちた声が大きく教室に鳴り響いた。
修平との関係がバレそうになったこと。
別れろと言われたこと。
アイドルを辞めようとしたこと。
全てきっと、想像してなかったことなんだろう。
「何かあったんだとは思ってたけど……」
「まさか、そんなことになってたなんて……」
ふたりは、深刻な顔であたしを見た。
「辞めたりなんてしないわよね、沙弥ちゃん?」
「吉良様とも……!」
「もちろん。全部、これまで通りだよ」
あたしはにっこりと口の端を持ち上げて、淀みない口調でそう答えた。
と、その時。
「南ー」
聞き慣れた声に呼ばれて、振り返る。
その先にいたのは、案の定、矢野新だった。
「職員室に来いって。担任が呼んでた」
「え、ありがとう」
土田先生が?
なんだろう……。
「ちょっと、行ってくるね」
まなみんと涼子ちんに言い残し、すぐさま後ろのドアを目指す。
と、一歩廊下に出たところで、再び矢野新の声がした。
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