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「おまたせ!」
「いや」
待ちに待った、土曜日の夜7時。
家からお母さんに車で連れてきてもらったのは、フレンチレストラン。
店員さんに案内された個室に入ると、先についていたらしい彼が静かに席に座っていた。
「ふふっ」
「なんだよ」
「嬉しいんだもん、修平とのデート」
顔を顰める修平に、あたしはサングラスをカバンにしまいながら、心をウキウキさせて答える。
お仕事が終わったあと、食事デートをしようと約束していたあたしと修平。
だからこうやって、フレンチレストランで待ち合わせをしていたんだ。
それもなんと、修平からの提案で。
お忍びでと、個室を予約してくれたのだ。
デートの約束なんて、いつもあたしからしかしてこなかったのに。
どうしちゃったの?
なんて、はじめは驚きを隠せなかったけど、今はそれを忘れちゃうくらいに幸せの感情で満ちている。
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