プロローグ

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◇ 『いーーやーー! 絶対、いやぁーーーっ!』 中学3年の夏。 なんの前触れもなく切り出された“その話”に、あたしはひどく声を荒らげた。 “あなたの通う高校はもう決まってます”? しかも、修平(しゅうへい)とは別の学校ですってぇ? そんなの、絶対ありえない! 『自分の進路くらい、自分で決めさせてよ!』 『悪いですが、これがウチの方針なので』 『修平と同じ高校じゃなきゃヤダ!』 『無理です。そもそも、あなたの頭脳では……』 頭脳では、なんなのよ? 『日野(ひの)っちの意地悪!』 ぷくっと頬を膨らませたあたしは、スーツ姿の彼を鋭く睨みつける。 しかし日野っちはというと、怯むどころか呆れた顔をして。 『はぁ……』 わざとらしく、盛大に溜め息をついてみせた。 むぅっ。 あたしだって負けないんだから! 『ケチ! わからず屋! 堅物メガネ星人!』 ポカポカと腕を殴りながら、不満をぶつける。 『あたしは兎月学園(とげつがくえん)に通うのー!』 『沙弥さ──』 『特進は無理でも、普通クラスならあたしだって通えるでしょ?』 『わがまま言わずに、言うことを聞いてください』 『フンッ』 誰が聞くもんですか!
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