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「味噌汁だけでいいよ。目玉焼きいらない」
ダイニングテーブルの椅子に座り、机に頬をつけてだらしなく突っ伏す。
「そう?俺、これから出かけるけど、お腹すいたら冷蔵庫に昨日のシチューあるから」
「うん、ありがとう」
「遅くなりそうだから夜は外で食べてくるけど、文ちゃん二日酔いなら、あんまり動けないよね?帰り、何か買ってこようか?」
夫の近づく気配。
コトンと味噌汁茶碗が机にぶつかる音に顔をあげる。
「……残り物食べとく。気にしないで」
「そう?じゃあ、行ってくるね。
あ、その味噌汁熱いから気をつけて」
「うん。行ってらっしゃい」
目の前に置かれた味噌汁を持ち上げて、私は夫を見ずにそう答えた。
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