13470人が本棚に入れています
本棚に追加
お礼は言う。でも、罪悪感はわかない。
だって、私は知っている。
彼が私に文句を言わないのは、彼が平和主義者である以前に、私よりもっと後ろめたいことをしているからだ。
「……朝から緩んだ顔、してんじゃねーよ」
ぼそりと悪態をついて立ちあがり、味噌汁をシンクに流した。
水を出して洗い流す。
証拠隠滅。
でも、きっとゴミ受けに残ったしじみが真実を暴き出す。
完全犯罪を犯すのはそんな簡単じゃない。
「……吐きそう」
呟いて、ソファーに丸くなり、目を閉じた。
頭がガンガン痛い。
最初のコメントを投稿しよう!