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誰が落としたんだろう? そんな呑気な事を考えながら、好奇心にかられた彼女はノートをパラパラとめくります。中にはどこか知らない国の言葉なのか、それとも暗号なのか、よくわからない記号が書かれておりました。
けーさつに届けなくちゃね。素直に彼女はそう思い、今まで歩いてきた道のりを引き返そうとしました。
しかし、ページをめくっていた手が止まります。それと同時に歩いていた足も止まります。彼女の興味がページの一点に集中します。
そこに書かれていた文字は、日本語でした。
『恋の魔法薬』
まさかね、そう思いながらも彼女は下に書かれている説明を読むことにします。
『恋の魔法薬に関するレポート』
・相手に自分を惚れさせる薬の材料
赤ワイン グラス一杯
カモミールの葉 一枚
イモリの黒焼き 一匹分
ハシバミの小枝 一本
……
ここに書かれている材料は、その気になれば手に入れられるものばかり。もちろん、誰かが冗談で書いたのかもしれません。それでも恵理は、その先を読まずにはいられませんでした。
・薬の調合方法
黒焼きにしたイモリは粉にし、赤ワインに溶かしてその中にカモミールの葉を浮かべます。ハシバミの小枝と……
冗談にしては手が込んでいる。でも、魔法の薬なんてこの世の中に存在するわけがない。そう思いながらも彼女は、読むのをやめることができませんでした。
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