6人が本棚に入れています
本棚に追加
『新郎の雅希様と、新婦ご親友の本城蘭子様はダンスインストラクターです。
プロお二人が指導し、高校時代のご友人と新婦の弟様とで2ヶ月の練習を積んだという、
まさに新婦様のためだけの、夢のユニット!!
本家顔負けの華麗なダンス、ご覧下さい!』
イントロの静かなフレーズが流れる。
あたし達は、滑るようにフォーメーションを変えていく。
司会のアナウンスが被る。
『新婦様が大ファンという『ARASHI』の『愛を叫べ』、どうぞ!!』
弓に矢をつがえるポーズで、弥生に向けて全員が、
――発射!!
一転、イントロが大きくポップに入れ替り、
会場とステージの照明、全開!!
軽快な音楽に乗って、あたし達は、踊った。
明も秋島も、あれでも酒は控え目にしていたらしく、足取りは軽やかだ。
最初のほうにしてもらってて良かったよ、ホント……。
安堵の笑みを明に向けると、明が得意気な笑顔を返す。
秋島は、途中で草履の鼻緒が切れて、パフォーマンスみたいに脱ぎ捨てた。
さすが、アドリブもサマになってる!
むしろ修司が、緊張からか、片足立ちの振り付けでフラフラしてる。
コケんなよ修司!
ちょっと睨んでやると、修司は舌を出して悪戯な顔で笑った。
拓ちゃんの顔は、クソ真面目!
フォーメーションでスレ違う時、おデコに空手チョップをお見舞いしてやったら、
ちょっと睨まれたけど、すぐに笑顔を見せた。
弥生のおじさんも、おばさんも、招待客もみんな、手拍子で盛り上がってる。
弥生は……
わあっ!!
アンタ白無垢のまんま、立ち上がって大手を振って手拍子とか!!
さすが、西高バスケ部ARASHIの、四人目のメンバーだよ、弥生!
今までで一番気持ち良く踊って、曲も終盤。
秋島との絡みだ。
クライマックスの大音響の中、秋島に肩を寄せたあたしの耳に、秋島が叫んだ。
「ありがとな、本城!」
「お礼はまだ、早いと思うよ?」
あたしは、大きなハートマークを半分ずつ形作ったあとに触れた秋島の指先を、そのまま掴んだ。
それをそのままあたしの唇に押し当て、
さらに意味ありげに投げキッスとウィンクを送る。
豆鉄砲食らった鳩みたいな顔で硬直した秋島を尻目に、
黄色い声と手拍子で盛り上がる客席に向かって、あたしは声を張り上げた。
「ホントのサプライズはここからです!!
皆さまカメラは新婦の雛壇へ!!」
あたしの絶叫を合図に、明と修司がステージを飛び降りた。
最初のコメントを投稿しよう!