Dance.Dance? Dance!!

6/11
前へ
/13ページ
次へ
翌日、あたしが恐る恐る持ち掛けた提案に、 秋島は二つ返事で頷いた。 拓ちゃんは即決で断るかと思いきや、意外にも大乗り気。 スムーズ過ぎて、何かウラがありそうな気がして仕方なかったけど、 まずはお約束の、居酒屋での結成集会。 「申し訳ないけどさ秋島、今日はちょっと覚悟してよ。 あいつら手薬煉引いて待ってるから。 あたしもできるだけ取りなすけど」 「『西高のARASHI』のことは、弥生からしょっちゅう聞いてる。 気弱になった時、いつもいつもすごく励まされた、って。 いくら感謝してもし足りない、って。 だから俺も今日は覚悟決めて来た。助け船は一切ノーサンキューな」 二人でダンススクールから居酒屋へ向かう途中、秋島はそう言った。 酔いに任せて絡みまくる明と修司と拓ちゃんを、避けることもせず真正面から受け入れて、 言葉通り、秋島は30分で潰されて撃沈した。 ま、あとの三人も相当酩酊状態になるまで、そのあと飲んでたけど。 ともかくこれを皮切りに、2ヶ月の特訓は開始された。 挙式前のカップルは、ただでさえ様々な雑事てんこ盛りなのに、 その上、弥生に内緒だったから、 秋島はごく限られた時間しか練習のために確保できない。 だから、細かい振り付けチェックと指導は、あたしがする。 秋島の空き時間に皆のスケジュールを合わせ、フォーメーションと通しでの練習をする。 個人の絡みがある振り付けは、なるべく秋島とあたしが分担して、仕事の合間に二人で合わせる。 初めて五人で通し練習をした日、 明と修司は秋島のダンスを見て唖然としていた。 「天と地、だな……」 「なに、その切れ味」 「お見それしました」 秋島は照れながら汗を拭う。 「いや、三人ともすごく上手いよ。 この曲、振り付けが単純だからその分、カッコ良く見せるのは難しいのに、 三人とも見せ方心得てるもん。 思ったよりずっと基礎が出来てて、俺こそ驚いた。 弥生が絶賛してただけはあるよ」 「……なんか素直に喜べんな、その誉めかた。 特に、しゃらっと『弥生』とか呼び捨てるとこが」 「ははは明、悔しけりゃ秋島よりキレるダンスしなよ」 「本城お前、俺達の味方じゃないのか。 お前の一番弟子だぞ、俺達は」 「あたしは中立! 不干渉を貫かせていただきますよん」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加