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「あ、そうか元々本城が教えたんだもんな、高校時代に。
そっか、どおりで動きがみんな優雅なはずだ。
すごく綺麗に動く」
「はは、ありがと。まあ社交ダンスとクラシック担当は伊達じゃない、ってね。
じゃ、ご本家ARASHIを蹴散らすイキオイで、仕上げますか!」
「よっしゃー、本職二人のお墨付きもらって、俄然ノってきたー!!
拓巳、ミュージック、ミュージック!」
練習を重ねるごとに、10年前のカンを取り戻した皆の動きはキレてきた。
あと1週間。
秋島を交えた最後の通し練習では、スクールの鏡張りのスタジオを夜中に借りて、
動きやフォーメーションの最終チェックに入っている。
「なんかさ、姉ちゃんにバレそうなんだよ。
テレビでARASHIが歌ってるとさ、
気がついたら歌詞くちずさみながら動きの確認しちゃってんだよ俺。
姉ちゃん怪訝な顔してんだよな~、マズイよ」
最後の練習を終えて、拓ちゃんがこぼした。
秋島がハッと顔を上げる。
「あ……ゴメン、俺もおんなじ。
はは、二人揃っていかにも怪しいよな、はは。
……バレてっかもしんない」
「おいおいおい!
身内二人あと1週間、もちこたえてくれよ、頼むよ~」
「しらばっくれるのとか苦手そうだよね、秋島」
「秋島~、花嫁へのサプライズはお前にかかってるぞ~。
プレッシャーで潰れろ~潰れろ~、ははは」
「いや、もし気づいても、きっと弥生は黙っててくれる!
隠そうとしてる、俺の気持ちを汲んでくれる!
そういう聖母みたいな奴なんだ、弥生は」
「……本城、殴っていいか、こいつ」
「お好きにどーぞ。
ってか、まずあたしに殴らせろ!
むっちゃくちゃ腹立ったわ、今」
「あ、何だよ本城、中立だろお前、裏切んのか?」
「うるさい! ばーか!」
「いて!! ちょ、本気で殴ったろ今!」
「ばーか! ばーか!」
「ははは、やれやれ~!!」
先に皆を帰し、
時間外に特別に貸してもらってるスクールのスタジオを、あたしと秋島で片付ける。
「ホント、想像より遥かに上手いよな、みんな。歩き方ひとつ取っても最初から決まってたし。
高校時代、相当練習したろ?」
「まあね」
「バスケ部のARASHIはともかく、拓巳くんにも驚くよ。
あんな、いかにも柔道しかできませんってゴツいガタイで、あのリズム感と身軽さだからな」
「拓ちゃんは練習量だけなら明や修司よりやってたんじゃないかな。
負けず嫌いだからさ」
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