序章

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序章

 どう言う訳か、その少年は荒くれ者達に絡まれていた。  彼の話す関西弁が気に入らないから――もし、そうだとするのならば差別だと関西弁を話す人間は憤慨せねばなるまい。  現に少年の周りには関西弁を喋る者が少なからずいるわけだし、彼らも同じく標的にされねばならない。  だがいつも狙われるのは少年ただ一人であって、他の関西人が狙われることはなかった。  少年の右目が緋色であることが気に入らないからか――これについては、生まれもっての体質としか言い様がない。  虹彩異色症(ヘクロテミア)――左右、あるいは片方の瞳の虹彩の一部が変色する形質のこと。特殊な症状であり全国にも虹彩異色症(ヘクロテミア)を患った人間は実在する。  アニメや漫画では珍しくないのだが、特殊な症例だけに中二病設定のレッテルを貼られがちだ。  では彼もそうなのか、と問われれば答えは否。  少年は至って平凡であり、俺はダークフレイムマスターだわっはっは、と中二病を患ったことは一度としてない。もしそんなことをしてしまった日には、黒歴史として少年の心に消えぬ傷を与えていたことだろう。  ではやはり、単純に異なる瞳の色が気に入らないのか――だとするとそれは立派な差別であり、少年には軽蔑した輩を訴えられる権利が与えられよう。  だが今までそうしなかったのは、全て少年が自分で解決しているからに他ならない。
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