原案

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目が覚めると、アパートの非常階段の踊り場にいた。昨日、酔っ払ってそのまま寝てしまったらしい。昨日からアパートのエレベーターが工事中だったのだ。 聡子を起こしてくれたのは作業服を着たヒゲ面の男だった。 どこかで見覚えがあるような……? だが、あと15分で家を出なければ遅刻することに気づき、聡子はお礼もそこそこに、あわててアパートの部屋に戻った。 職場につき、トイレで寝癖を直していると、後輩の彩に「昨日の合コンの人、どうでした?」と聞かれる。昨日、彩に人数合わせだと無理やり誘われた合コンで、聡子はその中の一人と意気投合していた。だが聡子は泥酔。連絡先も聞けず、どうやって帰ってきたのか記憶すらなかった。 一応、彩に連絡がなかったかと聞いてみたが、参加者の中で彼だけは接点のない人物だったため、連絡先はわからないと言われる。 「まあ、そういう運命だったってことか」 トイレを出た聡子は、別の課の設楽快人と廊下ですれ違う。すれ違いざま、快人は「あの件、よろしく」と聡子に囁く。 あの件とは快人の両親に会う日取り決めのことだった。聡子は快人と2年付き合っていた。 その日、仕事から帰った聡子は、アパートの前で今朝の建築業者の男、木島雄也に声をかけられる。「酒はほどほどにした方がいいですよ、非常階段を布団と勘違いしないように」と笑われ、腹をたてるが、雄也は聡子が失くしたと思っていた腕時計を返すため、わざわざ待っていてくれたのだった。 偶然の再会など、少しずつ雄也と親しくなる中で、聡子は雄也に惹かれていく。だが、恋人がいるからと誘われた食事を断る聡子。雄也も引き下がり、二人は今までの関係に戻る。 一方、聡子との間にどこか距離を感じるようになった快人は、連絡もせず、突然聡子のアパートを訪ねーー
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