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<登場人物>
芳雄(23)
デザイン会社勤務 新入社員 優柔不断な性格
チラシやカタログなどのデザイナーをしているが、激務な毎日に精神的に追い込まれている。
一香(31)
通販会社勤務のOL。仕事ができすぎるがゆえ、上司や同僚からも疎まれている。
強さゆえ、誰にも弱みをみせられないという悩みを人知れず抱えている。
美佳(23)
芳雄の彼女。何かと芳雄をコントロールしようとする。
<あらすじ>
寒い冬のある日、会社の非常階段の踊り場で眠っていた芳雄が目を覚ました。連日の激務で知らないうちに眠っていたらしい。目の前には、見覚えのない女が仁王立ちで芳雄を睨みつけていた……。
デザイン事務所で働く芳雄は、社内唯一の喫煙者だ。タバコは屋外にある非常階段で吸う決まりだ。仕事は激務を極め、唯一の息抜きがタバコだった。そこに現れたのが、嵐のようなあの女だった…。
あの女とは、芳雄と同じビルにある通販会社勤務のOL、一香だ。細かな事でも見過ごせない性格で、社内の女子からはうるさいお局だと煙たがられている。一香も社内唯一の喫煙者として、芳雄と同じ階段の2階上の踊り場でタバコを吸うのが日課だった。
一香が眠っている芳雄を叩き起こし、強引にタバコをもらったことが2人の出会いだった。社内に居場所のないあぶれ者同士、2人は仕事の合間に非常階段で落ち合い、グチをこぼし合う仲になった。
芳雄には付き合って2年になる彼女、美佳がいる。美佳は芳雄との結婚をみすえて、芳雄に転職を勧めるようになった。
芳雄はその事を一香に相談するため、ポートフォリオを見せた。一香は言いたい放題ケチをつけたが、そのアドバイスを受けて芳雄は作品作りに取り組んでいく。やがてそれが功を奏し、芳雄は転職が決まった。
転職祝いに、一香はタバコをプレゼントしてくれた。やがて退職の日がやってきた。最後に一香に挨拶しようと非常階段に行くが、そこに一香の姿は見当たらない。芳雄は、最後のタバコに火をつけて会社を後にした。
しかし芳雄は自分の気持ちに気づく。俺は、一香に惹かれているんじゃ…。そう思い、芳雄は会社に引き返した。すると、非常階段から煙があがっていた。芳雄が残したタバコの不始末で、ボヤが起きていた。そこには、最後に一目会おうと、芳雄を探していた一香の姿があった…
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