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「あぁ…良い…すっごい楽しかった…」
家に戻ったお爺さん達。
タロウさんは縁側で陶酔感に浸っています。
「えらいこっちゃ…聞いてた話と違うじゃないか…」
「いやご主人が全然話聞いてくれなかったんじゃないッスか…」
「あんなバケモンだとは思わないじゃないか!銀色はあんなガタイじゃなかったし…偉そうにしてたけどパッと見一番弱そうなのにあの感じって事は特別な力でも持ってるんじゃないか?」
お爺さんは半ベソをかいてしまいました。
「…まさか赤鬼をあっくん呼ばわりするとは…」
「どうでもいい!でもこれでわかったでしょう?まともに戦って勝てる相手ではないんです。打ち出の小槌だけ奪って逃げれば良いんです!」
「キー!」
「待たれよ!某らは親友の猪がやられたんだ!!おぬしらが日和ったとしても彼奴らを殲滅せねば逝ったヤツが浮かばれぬ!…と言ってるッス!」
「キー!の中にそんなに意味が詰まってるのか!?あと一人称が某(それがし)なの!?」
まだツッコミを入れる元気はあるお爺さん。
深い溜め息の後にある事を思い出しました。
「この地で争うな…未来の嫁がいる…世界を獲る…って事は…おおおお!!」
「ご主人?どうかしたッスか?」
お爺さんは拳を天に掲げて魂の咆哮。
「びっくりした!どうしたんですか?」
「どっちでもイケる!!!」
お爺さんは鬼が恐ろしいあまり、いかに上手く逃げるかを考えていました。
しかしかぐやさんがいる限りお爺さんは安全。
しかも世界征服した勢力のナンバー2が結婚を申し込んで来たとなると、後々自分の地位は相当な位置になるに違いないと確信しました。
タロウさん達が勝っても英雄の保護者として後世に残るし鬼の財産を持ち帰る事で大金持ちになる。
「よっしゃー!!」
「あらお爺さん、そろそろ芝刈りの時間じゃなかったかしら?」
「やだ!そんなモン行くわけ無いだろ!!もう働かないって決めたんだ!!」
こうして駄目な大人が一人爆誕してしまいました。
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