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一
破壊者であれ!
無法者であれ!
理由なんかいるものか。
飛びかかって、踏みにじって、むしゃぶりついて、こなごなに引き裂いてしまえ! そのツメとキバが届くもの、なにもかもすべてに対して。
お前は情けとか、容赦という言葉を知っているか?
……ぜんぜん知らない? よろしい! とてもよろしい。
くれぐれも極悪非道であれ!
お前というやつは、この世でいちばん誇り高く、危険のかたまりで、だれの手にも負えない恐るべき悪魔だ。まったく、お前こそは猛獣のなかの猛獣だ。生まれついての最強で最悪の猛獣なのだ!
……
モモタロはいつからともなく知っていた。自分が天から与えられた宿命について。そんな非情の道を歩まねばならぬという宿命について。そして実際彼は、それに従って誇り高く生きてきた!
モモタロ――たいていはモモちゃんと呼ばれる――は、生後三か月を少しばかり過ぎたシバイヌで、いかにも聡明らしく澄みきった黒いつぶらな瞳と、ぴったりと閉じ合わさって一本の黒い線になったくちびるを持っている。
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