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「…学君?」
目隠しされた手を持ちゆっくり離しながら振り向くと、満面の笑みで俺を見ている学君がいた。
「当ったり~!大ちゃん久し振り!会いたかったよ」
今度はギュウギュウと後部座席から抱きつかれた。
「ちょっ、苦しい!」
「学、止めろ」
香坂さんの一声に、はーい、と返事をするとやっと解放してくれた。
「学君はどうしてここに…?」
「遊び行ったらさ、兄貴が落ち着き無く部屋をうろうろしてんだもん。
聞いたら大ちゃんが出かけてるって言うし。そんな気になるなら迎え行こうぜってことで来ちゃった!」
「学、うるさいよ」
そっか、香坂さんそんなに気にかけてくれたんだ。
照れたようにぶっきらぼうに言う香坂さんが可愛くて笑ってしまった。
「ねー、兄貴。お腹空いたから何か食べていこうよ」
座席で手をバタバタさせ、学君が騒いでいる。
「あー、はいはい。大介何食べたい?」
「俺は何でも…」
「焼き肉だ!肉食いたい!肉!」
「……仕方ねーな。大介いいか?」
「はい、焼き肉にしましょう」
香坂さんと学君の、二人が醸し出している仲の良い兄弟の空気が心地良く、更に運転する香坂さんも素敵だと見入ってしまった。
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