だましあい

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床に落ちたまま、それでもすうすうと寝息を立てている。 思わずじっと顔を見た。 寝顔は天使やな。二十歳も超えたのに、こんなかわいいままって詐欺やろ。 …えらい懐かしい夢をみたもんや。 バイト先で出会ったんは、俺が高3、こいつが高2のとき。 あれからもう3年近く経っていて、こいつはあっちへふらふらこっちへふらふら、色んな男を渡り歩いて泣かされてばかりいる。 理由はわかってる。 こいつがあほやからや。 狸寝入りの髪に手を伸ばし、触れる直前でわざと手を止めてやる。 お前、どうするつもりや? 俺が触れたら、してやったりな顔で笑う? それとも少しは動揺したりする? そのままゆっくり5秒数えて、手を引いた。 わざと落ちたお前なんかに触るか、どあほ。 俺はさっさと起き上がり、シャワーを浴びて家を出る。 酔っぱらって夜中に転がり込んだあいつは放置だ。勝手に帰れ。
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