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「あそこは魔力が不安定だからそんな事もあるんじゃないですかね?」
そんなに珍しい現象ではないのでリリアンはジーニアスに答えた。
「それなら良いんじゃが、最近ボルン大洞穴を拡張してシシド国の地下に繋げて魔力が安定的になったと思ったんじゃがのお。」
『あのはた迷惑な洞穴を広げたんかい!!』
ボルン大洞穴は魔力供給工場的な役割があるが、その材料は冒険者達の命という冒険者ホイホイ。
「リリアン君、シルエイティ大陸の魔王はどうじゃ?」
「だから魔王をやる気は無いですってば!」
「どうせシルエイティ大陸じゃカルラームの民なんぞ悪魔扱いじゃぞ?」
「そういう風評は知ってるけどさぁ。」
リリアンとジーニアスの師弟漫才を繰り広げられている最中、ローズ亭にある通信機に連絡が来た。
送信先はシルエイティ大陸のハルクである。
「教官!丁度お父ちゃんから連絡来ましたよ?」
リリアンはジーニアスにそう告げた後に通信機から流れるハルクの声を聞いた。
《おい、リリアン。詳しい説明はこっちでやるが、シシド国まで来てくれないか?それと国王に伝言を頼む。国王への要件は....》
「ちょっと待ってお父ちゃん、丁度今ここに教官来てるから代わるわよ?」
《まじか?そりゃ助かる。俺の魔力じゃ三分位で通信機が切れてしまうんだ。》
リリアンは通信機の受話器をジーニアスに渡した。
時おり聞こえるジーニアスとハルクの会話の単語によると、天空国とか天空の塔と言う言葉が聞こえる。
「....ドルトン、とりあえず店を閉めてシルエイティに行く事になりそうよ。」
「大丈夫です、旅の準備ならいつでも整っていますから。」
そもそもローズ亭とは冒険者の旅の準備に立ち寄る店なので、リリアンの旅の準備とは店のアイテムの選別くらいだ。
程なくしてハルクとの会話を終えたジーニアスがリリアンに困った顔を披露した。
「どうしようリリアン君。シルエイティ大洞穴が天空国の者達に壊されたみたいじゃよ。」
「....そりゃそうでしょ。」
ある日いきなりモンスターの沸く洞窟が開いてたらそりゃそうなるに決まっている。
「ああ....ボスモンスターを置いておけば良かったのかのぉ。」
「....置かなかったんかい。」
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