prologue

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何かを考える素振りを一瞬見せてから、口を開く。 「終わりは7時だから、30分なら付き合える」 「なら、7時にまた来る」 そう告げると、銀は背中に力を込めて身体を離し、ポケットの手が出されて後ろ手に振られた。 「したっけ(そしたら)後でな」 そう伝えて、校舎へと消えて行った姿にフッとまた短く笑った社も、部活へと専念する。 最後のストレッチを終わらせ、部員に次の大会の話をしていた。 柱に掛かった時計をちらりと見てから、まだ余裕はあると視線を戻し話を続けた。 社は6時50分着替えて丁度いいだろうと踏んで、解散を告げた。 「部長!」 滅多に呼ばれないので、顧問に呼び止められると言う時間のロスを埋めるため道着で銀を探しに出たのは5分を超えた所。 滅多に遅刻をしない社は、慌てて部室を飛び出れば、木に背中を預けた銀が手を挙げた。 「よっ」 と、軽く挨拶されたが社はずんずんと銀の前まで早歩きで進んで頭を下げた。 「(ゆずりは)っ!悪ぃ顧問に捕まった」 驚いていた銀に謝罪すれば髪を掻きながら謝られるとは思っていなかったようで、苦笑いを零した。 「あー別にそれはいいよ」 「で、話しは?」 その場で切り出した社に驚いて銀が薄く笑う。 「ん、教室と俺の部屋どっちがいい?」 寮生である銀の部屋はこの場所からなら5分も掛からない。 教室もほぼ変わらない距離である。 「なら、荷物もって部屋へ行く」 「OKここで待ってる」 社は珍しい事もあるもんだと1つ首をかしげてから、部室に戻った。 時計をチラリと見て、後15分で話すのも何かと途中になりそうで、自宅へと電話を入れ戻らないかもと言伝て、部室を出た。 「待たせたな...」 制服で片側に弓の道具を背負って出てきた社を見て銀も、腕にぶら下げていたスクールバッグを肩に引っ掛ける。 「おぅ、俺の部屋でいいんだよな?」 そう言って先を歩く銀の後ろを、社がついていく。 「いいよ」 短い会話を交わして2人は銀の部屋へと向かった。 恐らくこの2人の組み合わせは異色でしかないのだろう。 部活帰りの数人が2度3度と2人を見るからなんとも心地悪そうに、部屋へと向かった。 カチャリと鍵の開く音と共に、ドアが開けば、左手にベット窓側ドアと対面の位置には机があり、机の横にはダンボールが3箱積んであった。 「質素だな...」 「3年だしな」 それにしては、すぐにでも出られる様に用意してる様に見て取れる。
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