548人が本棚に入れています
本棚に追加
銀がチラリと、うつ伏せた社の背中に手を置いてポンポンと、あやす様に叩く。
「あれだ、アンタは色んなのに囚われすぎてんじゃねえの?」
俺はそんなもん捨てたけどと笑いながら銀が言えば驚いた顔で、社が銀を見上げた。
「何だよ、そのおったまげた顔」
「...あ、いや、お前でもまともな事言うんだな」
と、社が顔を背けてしまうと、今度は銀がぶはっと笑った。
「なんだよ!図星か」
まさにその通りで、反論は出来なかったのだろう「うるせー」と、恥ずかしさを隠すかのように小さな声で返事を返したが枕に顔を埋めてる為、銀には伝わらなった様だった。
「部活ん時、なまらうるせえヤツらが裏で喧嘩始めて...俺を助けた、それだけだ」
枕の上に顎を置きそう伝えると、銀はキョトンとした後に爆笑する。
「あんだよ、結局喧嘩に助けられたのかよ」
と、さもおかしげに笑う。
その様子に社がボフッと枕を投げた。
その姿はやはりまだ高校生の、無邪気さと仄かな大人への階段を踏み上がる色気があった。
「てか、もう結構な時間だぞ?」
急に時間が気になった銀が時計を見て慌てて社へ伝えれば、ニッと薄ら笑いを浮かべ布団に顔を埋めた。
「連絡してるし、帰るの面倒だから泊まる」
「は?待て待て、俺のベッド!!!」
ベッドは、大きさから言えばシングルで、1人で寝ても、狭い。
唯一壁に密着している面へと社が移動した。
「ん?仕方ないな...ほら」
と、さも自分の場所だと言わんばかりの物言いに銀が、舌打ちをひとつしてから髪を掻いた。
「俺寝相、悪ぃからな?そしてお前は手前だ!それなら許す!」
と、腰に手を当てて言えば社がガバリと身体を起こし、銀に手を差し出した。
「は?なんだよ...」
わからない銀に、社は無言でさらに手を前へと出してアピールする。
「だから、何なんだよ!」
と、基本短気な性格を隠そうともせずに怒鳴れば社が口を開く。
「新品の下着と、風呂道具」
と、なんで分からないんだと言いそうな勢いで言われて、面を食らった。
だが、そこは慣れているのかタンスをガサガサ漁って袋入りのボクサーパンツを社に投げつけ、その後にはバスタオルを投げ付けた。
「風呂は1階!9時までだから後15分だ」
「は?お前入らねぇの?汚ぇな一緒に寝てやらんぞ?」
誰の家だよ!と、キーキー文句を付けながら2人で風呂へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!