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あまりの焦りように、社が何なんだよと聞く。
ほとんど身体も拭けていない状態で、水分で引っかかりキツそうに服を着ながら銀がモゴモゴと伝えてくる。
「早く出ねぇと鍵かられる(鍵を掛けられる)!」
身体からぼたぼたと水を落としていて何も出来ていなかった社も慌てて服を着だした。
「マジか!」
バタバタしながらもどうにか、風呂場を出ることが出来た。
部屋に急いで上がって、はあはあと荒い息を吐きながら互いに顔を見てプッと、吹き出した。
「やべぇんだって、なまらしばれるから!(とても寒くなる)」
「ははっ、マジで?ビビった」
と、笑う社は頬が紅潮し、髪から流れる雫は...たらりと首筋へと落ちていく。
あまりの色香にくらりと目眩さえ覚えた気になった銀がポツリと漏らす。
「やっぱりお前綺麗だな...」
ドアの前二人並んで立っている言葉にはあまりにも相応しくなく、社が首を傾げた。
けれど社の目にも、やはり長さのある髪から落ちる雫に目を奪われ、ハッと瞬時に我に返った。
「前も言ってたけど...何?俺に惚れたの?」
そう、バカにしたように聞けば銀が一気に顔を真っ赤に染めた。
「ばっ!違うわバカか!!」
そう言って、どつく勢いで腕を振り上げた銀の腕をパシリ...と難なく捕まえて社がニッと笑う。
「ムキになってんの、結構可愛いじゃん」
そう言って、肩に掛かったバスタオルで銀の頭を拭き出した。
身長差は、数センチ社が高いからか銀はぶう垂れて大人しく髪を任せた。
「ん、出来た」
社が髪を拭き終わりバスタオルを離せば銀の胸元へとだらりと垂れ下がる。
「あーうん、お前も拭くぞ」
そう言いながら、銀がベットを指さすと、ぶくくく...と社が笑うから、ため息ついて社の手を引きベット前に来ると、軽く肩を押せば大人しく...いや、笑いを堪えながら座った。
「はいはい、はじめちゃんは笑い上戸ですなー」
そう言いながら、滴る水を社の肩に乗っていたバスタオルで拭いていく。
「お前は、俺の頭の爆発具合に笑ってんだろ?好きに笑っとけ」
ガシガシと社の短い髪から水分を取るのはあっという間だった。
「なんで俺の頭拭いてんの?」
社が聞けば拭いてくれたお返しだと言い、そんなもんかと互いに納得して銀がドライヤーを取り出した。
「延長コード枕元にあるから取って」
言われるがまに社がベットの所に置かれたコードを渡せば、差し込んで社の頭に温風をあてた。
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