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数分後顧問が横に来て、入部希望かと聞かれたが、あの女子と話していたのを見ていた銀にしてみれば、邪魔だから居なくなれとハッキリ言われた方が理解出来る。
「見学禁止?」
問えばそんな決まりはない、とルールにうるさい社が言っていたのだ、嘘をついて追い出すか、それとも出て行けと言われるか。こんな些細な衝突さえ、銀は楽しくて仕方ないのだ。
「見学なら問題ない」
どうやら社の言っていた通り、見学は許されると顧問から聞けてほっとした。確かに問題を起こしたり、先生の言うことを聞かなかったりとしているが、出禁にされるのは本意ではない。
「でもお前が弓道に興味があるとは思えんが?」
顧問の言うことは確かにその通りなのだ。
入部希望ではないのだから。
「あーはじめが気になってる」
「...お前、社の迷惑考えたか?」
やはりあの女子が、迷惑しているとでも言ったのかもしれないと溜息を漏らし顎先で弓を引く社の後ろ姿を示した。
「はじめは、見てるだけなら問題ねぇってさ」
最初から了承は得ていると匂わせば、先生はそうかと納得して銀の側を離れた。
背筋を伸ばし足をどっしりと、地を踏みしめる姿はやはりかっこいいもので、弓を引く姿はとても爽やかだ。
銀は携帯のカメラを取り出し数回シャッターを切ると、流石に気づいたのか社が携帯を取り上げた。
「おい!」
「...俺の姿撮って何楽しいんだよ」
「いいじゃん、綺麗なんだから!」
「お前の目は何か変だな」
そう言って返してもらった携帯をさらにパシャリとすれば、ちょっと微妙な笑顔の社が写った。
「ほら、喋ってないで型を取れよ」
顧問が社に言えば、しっかり頷いて元の場所へと戻っていった。
女子生徒が度々顧問に何かを言う姿にげんなりしながらも、社を一心に見てふと銀の胸の内に先程の事が蘇った。
〝そうだな、ホモかもな〟
社はそう言ったのだ。 否定ではなく、肯定...自分以外に社と仲良くしている奴はいないこと。
それを総合したら...
「やべ、勘違いしそ」
銀がポロリと漏らし顔を赤くしたのは、誰にも見られてはいなかった。だがここで、銀は恋愛の対象として社を見ている事を認めざるを得なかった。
「マジか...俺が?いや、気の迷いじゃねーの?」
ブツブツと自分に問い掛けても認めた感情は消えるどころか膨らむ一方で、先程の写真を開いては、深いため息を付いた。
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