prologue

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繰り返される日常は、常に残酷であると銀は思っている。 くだらなく、怠慢な日々。 怠惰を貪る自分はどこまでも情けないのだと銀は知っていた。 だから、早朝から帰る時間までをしっかり決めてその時間で、全てを終わらせられる(やしろ)が、恨めしくもあった。 まだ雪が深い3月、進級と共にクラス替えがあり、銀は張り出された教室へと向かう。ドサッとカバンを机上に投げ捨てるように置けば目の前の男の後ろ姿に息を飲んだ。 自分の周りにはいない、背筋の伸びた後ろ姿は顔を確認しなくてもわかる。 「会長と一緒かよ」 椅子を引きながら、銀が呟けばくるりと身体を反転させて社がじろりと銀を見た。 「出席番号順になると、お前が後ろか」 そう一言放つともう前を向いてしまった。 今年も会長選挙がもう少しで行われる。 この男は2年の時から会長をしているから今年は3年の入れ替えだけでまた、この男が会長をするのだと銀は疑ってもなかった。 先生が、新品のスーツで入って来るとザワついている教室が一気にシンと音を殺す。 「よ、3年共1年頼むわ」 と、軽い挨拶をしたら女子がきゃぁきゃぁと声を上げ、男子はあからさまに不貞腐れている中点呼が始まった。 順に呼ばれ、先生が社の名を呼ぶ前にピタリと止まってくくと笑う。 「(やしろ)(はじめ)」 社は溜息を付いて返答を返せば女子がざわめいた。 「(ゆずりは)(ぎん)」 その言葉に銀も短く「へぇーい」と答えると男子がざわめいた。 「お前ら1文字兄弟見たいだな!」と先生が笑うが周りは笑う者は1人もいなかった。 どうにも空気を読まない先生に、社が早く進めてくださいと先を促す始末だ。 担任は、まだ若いがイケメンで校内1番のかっこいい先生ではあるが、何かと残念であると、女子の間では噂がなされていた。 挨拶も終えた昼休み、購買に行く人の群れを無視して社がカバンから弁当を取り出した。 その姿に銀が食いついた。 「なんだよ、会長自宅通いだから作ってもらえんの?羨ましいなー」 絡み付いてくる銀に、社がため息混じりに話す。 「...早く行かないと無くなるぞ?」 寮生活の中で昼だけは出ないので、食堂へ行くか、購買で買わなければならないのだ。 競争率の高いパン等はあっという間に無くなるのでモタモタ出来ないのだが、銀はそこから動こうとしない。
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