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結局、銀は遊びでは欲を満たせずその場限りの温もりに、嫌気を覚えてた。
それは周りから見れば反抗的な態度に取られ先生も動くしか無くなっていた。
「でだ、聞いてるのか!杠!!」
先生の声に耳に指を入れて、知らん顔をする銀には先生もほとほと手を焼いているのだろう。
考えがあるような顔で、先生は社に視線を向かわせると社は嫌な予感を感じてかフイッと違う方を向くが目が合った時点で察してるのだろう。
どんどんと不機嫌な顔を作っていくのが周りからも見て取れた。
「社...杠の面倒頼むな」
聞こえた声に深くため息を漏らした社はチラリと不貞腐れてる銀の顔を見て、残念そうに息を吐き出した。
「嫌ですよ…俺は調教師じゃないんでね」
そう返すと、後ろから舌打ちが聞こえ、周りは銀が暴れないかとざわついたが、一瞬で静まったのは銀が立ち上がったから。
「のけ者にしてぇなら、退学にでもすりゃいいだろうが!」
荒い言葉を鼻息荒く吐き出すと、社はジロリと睨めつけるように銀を見る。
その視線に何が言いたいのかを理解したようにまた、舌を鳴らす。
「杠...今は黙れ」
社の一言に、黙って着席した銀。
そのやり取りは後に調教師と呼ばれる由縁になるのだが、本人達はそれを知らない。
授業が終わると、社が徐に振り返る。
「杠、後で話すぞ」
「あ?調教じゃねぇんだろ?動物扱いするお前なんかと話したくねぇ」
銀が、そっぽを向くと社は徐に立ち上がり手を差し伸べた。
目の前に出された手、無表情の社。
興味津々で2人を見るクラスメイト...
「んだよ」
「ここでは目立つ」
結局、社の腕を掴まれて生徒会室へと引きずり込まれてしまったのだ。
部屋へと入れば銀も色々興味があるのか周りを見渡していた。
「適当に座ってくれ」
そう言うと、社は長椅子の前に入り込んだ丸椅子を引き腰をおろす。
それを見た銀も、溜息を吐きながら対面に座った。
真顔で銀に話しかけた内容は、受けた本人さえも驚く事だった。
「杠...喧嘩ってイライラするから、やるのか?」
「は?何言ってんの?売られるから買うだけだろ」
「殴られて、痛くないのか?」
「痛くねぇよ!」
なんなんだ、と...銀は思う。
説教でもされるのだろうと思っていたようで、随分と拍子抜けな顔をしながら答えた。
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