☆園山美月☆

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雨くんの病気も少しずつ快方に向かっている。あの日から雨くんはお父さんと話し合い、無事に和解した。今は入院中で、お見舞いにも行っている。連絡先も交換し、たまに不安や愚痴が送られてくるが、頼ってもらえて嬉しかった。そんな私ですが、今私もひとつだけ不安がある。 それは、晴輝。最近は朝も家まで来なくなり、ここ一週間ぐらい一言も話していない。 そんな私たちに大きな嵐が接近してきた。 それは、私たちを惑わし、苦しめた。 コンコンコン 「はい。……ああ、美月さん」 「こんにちわー。はい、今日は美味しいケーキも一緒だよ!」 「やった!……うわぁ、美味しそう」 「よかった。最近元気そうだね」 「うん。少しずつ回復してきているし、父ともちゃんと話せた。全部美月さんのおかげだよ」 「そんなわけないよ、雨くんが頑張ったから……はい。じゃあ食べよう」 毎日この時間だけを楽しみにしている。この二人だけの時間は私の宝物。 「あー、美味しかった。ありがとう」 「よかった。じゃあ、そろそろ行くね。また明日」 「美月さん、大丈夫?毎日毎日大変じゃない?」 「ううん、今はこの時間が私の楽しみだから……迷惑だった?」 「いや、ただ無理してないかなって思っただけだから」 「本当?」 「うん」 「分かった、じゃあまた明日。バイバイ」 「バイバイ」 家に帰る途中で、引っ越しトラックを見かけた。そのトラックは私たちに転校生と嵐をもたらしたんだ。 次の日、 「みんな席つけ!今日は転校生が来ている。凉白、入って」 入って来たのは、色白できれいな黒髪をボブカットにした女の子。 「凉白雪音です。よろしくお願いします」 そう言って、上げた顔はとても美人だった。 「席は蒼海の隣な。じゃあ、授業に遅れないように」 雨くんが入院してから、席替えがあった。私は晴輝の隣で、晴輝の後ろには快靖がいる。 先生がいなくなると、凉白さんが私たち三人を見回して言った。 「これからよろしくね」 もう黒い雲はすぐそこまで来ていた。
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