☆園山美月☆

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凉白さんが来てから一週間がたった。凉白さんはクラスに馴染んでいった。 その日の朝、私は晴輝を待ち伏せしていた。あまりにも避けられているので、こうなったら聞き出してみようと思ったのだ。 「まだかな……」 と、待ち始めて10分が過ぎた頃、 「すみません。少しよろしいですか?」 若い男の人に話しかけられた。 「はい、どうかされましたか?」 皺のないスーツに身を包み、端正な顔立ちをしている人だった。 「ここまでの道を教えてほしいのですが」 差し出された紙には、ここから車で20分ほどのところにある店名が書かれていた。 「ここでしたら、この道真っ直ぐ行って……」 「すみません。よくわからないので、道案内していただけませんか?学校まで送るので」 「それは……」 確かに行き方は複雑で分かりにくいと思うが、見知らぬ人の車は乗れない。それに、遅刻する可能性もある。 「すみません。道案内はできません。誰か……」 「いいからさっさと乗れよ」 「えっ」 気づいた時にはもう遅く、手首を強い力で握られていた。 「やっ!……離して!」 そう言っている間にも車の方へ引っ張られていく。息が上手くできなくなってきた。 「静かにしろ!さもないと……」 「美月!」 この声は…… 「……っ晴輝!」 「おい!美月を離せ!」 「うるせえ!ガキは黙ってろ!」 ピーポーピーポー どこからかサイレンの音がする。その音はどんどん大きくなっていく。 「チッ」 男の人は舌打ちをすると、私を押して逃げていった。体が地面に叩き付けられる。 「美月!」 「……サイ、レン、は?」 「俺だよ」 「快靖!警察呼んだのか?」 「そんなわけ、これだよ」 そう言って快靖が見せたのはスマホの画面。 「なんだ──。」 それまでだった。晴輝や快靖が私の名前を呼んでいるのが意識の奥で聞こえた。
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