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祖父母がカナダにいるらしいが、私はこの町を離れたくなかった。晴輝と快靖がいるから。だから今はこの家に一人で住んでいる。
学校につくと、例の男子が近づいてきた。
「今日は二人して遅刻なんて、どうしたんですか~?」
「何でもねーよ」
「嘘つき」
不意に聞こえた声に振り向くと、凉白さんが不敵な笑みを浮かべて言った。
「昨日、園山さんが男に襲われたあと、天宮くんの家に連れていってたじゃない。二人揃って同じ時間に遅刻って怪しくない?」
「えっ!襲われた?何それ!」
「朝帰りってこと?うわ、まじかよ」
えっ?何で凉白さんが知ってるの?
隣の晴輝も驚いた顔をしている。
「それに園山さんがって彼氏がいるんじゃないの?それなのに、他の男の家で一晩過ごすって、彼氏さんが可哀想~」
「何でそんなことまで......」
と言うと、何人かの女子が俯いた。
ああ、教えたのか。
「凉白さん。言って良いことと、悪いことがあるって分からない?美月は今回の件で傷ついたんだよ。それなのに、美月が悪いみたいな言い方やめてくれないかな?何も知らないくせに」
珍しく快靖が怒っている。快靖が怒るとその場の空気がスッと冷えていく。それだけに妙な迫力があって怖い。
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