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秋の終わり 1
運動会も文化祭も終えて、受験モード真っただ中にある、10月末の3年生校舎。
その中でもひときわ近寄りがたいと言われているクラスがある。都内の進学校の中でも上の中レベルに位置する我が高校において、成績上位の生徒たちだけが集ういわゆる「特進クラス」、3年1組だ。
その3年1組の教室内、窓際の最後列という当たり席にて。机の上に数学の参考書を積み重ねながらも、その影でさほど好きでもない文庫本を読んでいるこの私――市川遥は、はっきり言って暇を持て余している。
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