☆園山美月☆

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☆園山美月☆

授業中ずっと横の席が気になって仕方がない。 私の好きな人、氷藤雨くんが座ってるから。 何回目かの席替えでやっと近くになれた。 4月の最初の席は自由でその日もギリギリで登校してきた私は、快靖と二人で空いている席に並んで座った。そのとき私の前に座っていたのが氷藤くんだった。白い肌に少し茶色っぽい髪、フレームのない眼鏡の奥には長いまつげと切れ長の目。いつも静かに本を読んでいた。 ある時、昼休みを使って勉強していた私は分からない問題に頭を抱えていた。そんなとき、 「園山さん、大丈夫?」 「えっ、何が?」 「いや、さっきからずっと一人で唸ってるから」 「ああ!ごめん!迷惑だったね」 氷藤くんは首を横に振ると、にっこりと笑って言った 「よかったら、教えてあげようか?」 「えっ!良いの!?」 氷藤くんはテストで毎回学年3位以内に入っている秀才だった。 氷藤くんの説明は分かりやすくて、私は頷いたり、相づちを打ったり色々していたのだろう。 「園山さんって面白いね」 「えっ!」 「だって、いちいちリアクションしてさ……」 「そ、それは……」 氷藤くんは笑いすぎて涙目になっていた。 「教えててこんなに楽しかったの初めてだよ」 そう言って笑う氷藤くんの笑顔に心を奪われた。 それから、次の席替えまでの約一ヶ月間、私はとても幸せだった。しかし、次の席替えで席は離れ、それ以来あまり話をしていない。 放課後、またまた一人残って勉強していた私のところに氷藤くんがやって来た。 「また唸ってる」 そう言って笑う氷藤くん。私は顔が赤くなっていくのを感じた。 「教えてあげようか?」 その言葉に私はうなずいた。
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