3人が本棚に入れています
本棚に追加
☆園山美月☆
あの日から毎日放課後に勉強を教えてもらえることになった。毎日氷藤くんと話せてラッキーって思ってるんだけど、あの日から晴輝の様子がおかしい。でもいくら幼馴染みだからってプライベートはあるから何も聞かないけど。
今日も二人で勉強会。ふと窓のそとに目をやると、
「あっ、雨。どーしよー、私……氷藤くん!?どうしたの?顔赤いけど、熱!?」
と言って氷藤くんのおでこに触れると更に赤くなった。
「ちょ、園山さん。熱はないから……とりあえず手、離して」
「あ、うん」
氷藤くんはふぅ、と息を吐くと
「……不意討ち」
と言った。
「不意討ち?何が?」
「……“雨”って言ったから、ビックリした」
「雨?…ああ!そういえば、氷藤くんの名前!」
それにいちいち反応する氷藤くんが可愛くてつい、
「じゃあさ、これから『雨くん』って呼んでいい?」
「……いいよ。それなら僕も『美月さん』って呼んでいいですか?」
今度は私が赤くなる番だった。大きく頷くと、
「おあいこだね。美月さん、真っ赤だよ」
と言われた。自分の名前がこんなに特別に聞こえたのは、初めてだった。
それから数日後、事件は起こった。
休み時間の移動教室で、私は、
最初のコメントを投稿しよう!