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「椿、失敗は許されないからな」 一年に一度、お正月にしか着ないはずの着物を着飾る私を、父が細い目で威圧しながら言い放つ。 「お父様、分かっています」 心を殺して返すと、母は私の左隣で申し訳無さそうに目を伏せた。 十八歳になったばかりの私、本多椿(ほんだつばき)は、今からお見合いをする。 更にはその相手と結婚をしろと父から言われている。 顔すら知らない相手と。
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