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「か、海さん!?」 男性の裸をまともに見たことがない私は悲鳴に似た叫び声を上げてしまった。 私は恥ずかしすぎるあまり直視出来ず、逃げるように顔を下に向けた。 すると突然右手を掴まれ、そして引っ張られる。 体勢を崩して顔を上げると、目の前には先程逸らした引き締まった身体が再び現れた。 右手に生温かい硬めの感触。 海さんが私の右の手の平を自分の胸に当てさせた。 逃げる前より状況がハードになってしまった。 「か、か、海さんっ!?」 動揺マックスで声は裏返り、真っ赤な顔で口をパクパクさせてしまう。 「どう?」 掴んだ私の右手を確かめさせるためにか、自分の肌に這わせる海さん。 手には硬めの温かい感触。 目の前は刺激の強すぎる美しすぎる海さんの肌。 どう?って言われてもっ! 「分かりましたっ!海さんは無事ですねっ!安心しましたっ!」 海さんの身体が刺激的すぎるあまり、声のボリュームが抑えられない。 「椿への気持ちに気付いたのは、弥生からの電話の時」 限界で目を逸らそうとした時、海さんからまさかの突然の告白。 驚きすぎて目と口を見開いた。 海さんがあの時から私を好きだった……? 「う、嘘……」 信じきれない私は口から溢した。 「だっていつも私をからかっていたようにしか見えなかった……」 更に溢れると、海さんはフッと微笑んだ。 「最初はからかってたけど、最近は我慢してるのを誤魔化してただけ」 「で、でも、頬のキス以上のことはされていないし……」 「洸の事も解決してなかったし、椿は触るだけで真っ赤になってたから、俺に慣れてくれるまで待ってたんだ」 口から漏れた疑念に全て即答した海さん。 それでもまだ疑念を振り払えない。 「まだ俺を信じれない?俺はあの時からずっと椿が好きだよ」 信じ切れなくて呆けている私を真っ直ぐ見つめたまま告白を続ける海さん。 海さんが強引に触れさせた私の手のひらには、先程から速くて重みのある鼓動が伝わっている。 私が海さんに触れられた時と同じ速さだ。 ……本当に海さんも私を好きなの……? 「俺がどれだけ椿を好きか、我慢していたか、教えてあげる」 沈黙を続ける私に海さんが言ったその言葉の直後、私の心臓が突然海さん以上の速さになる。 「やっ!」 突然の海さんの行動に心臓が耐えきれそうにもなくて、右手を引こうとするがびくともしてくれない。 「俺のために手を荒らしている椿が愛しくて仕方なかった」 だって海さんが自分の胸な当てさせていた私の右手を持ち上げると私の指にキスをしてきたから。 「こんな風に手にキスをするだけじゃ全然足りなかった」 見つめられたまま指にゆっくりと唇をつけ、チュッとわざとらしく音を立てて落とされ続けるキス。 丁寧に何度も何度も。 私の心臓はドコドコと大太鼓のような音を打ち鳴らし続ける。 「ディズニーランドでも本気でキスしたかった。朝の頬のキスも、椿の手荒れに気付いた時も、本当は唇にキスしたかった。今日の浴衣姿、綺麗だった。今すぐベッドに向かって俺の手で脱がしたかった」 言葉の合間にキスの嵐を降らせながらも私の目を見据える。 「椿に気持ちを伝えなかったのは、俺だけが触れたくてキスしたくて仕方ないのが釈然としなかったから。でも今は本当に後悔してる」 気持ちの暴露を続ける海さん。
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