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「じゃあ今度こそ椿、おやすみ」
それを確認したアリサが私に言う。
「ありがとう、おやすみ」
挨拶を返すと、アリサは踵を返して扉の方に向かって行く。
海さんを見ると先程渡された新品のシャツを着ていた。
「今日は残念だけど一人で寝るよ」
海さんが眉を下げながら私に言った。
アリサが来ていなかったら私どうなっていたんだろう。
「おやすみ、椿」
「おやすみなさい、海さん」
海さんに挨拶を返すと、海さんはじっと私を見つめた。
それだけで落ち着いていた心臓がまた勢いよく飛び跳ねる。
右手で私の頬に名残惜しそうに触れると、スルリと私から離れていった。
さっきまではドキドキしすぎて苦しいから離れて欲しかったのに、離れたら急に寂しくなった。
ワケが分からない、私の思考回路。
どうしたんだろーーーーえ。
一瞬のことだった。
顎を掴まれたかと思ったら、上を向かされて。
そしたら次の瞬間、唇には生温かい感触。
触れたのは一秒も無い。
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