第2話 真夜中の恋人

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第2話 真夜中の恋人

そして2週間かけて、多宝村に到着した信寧王。 最初の2日間は、村の絶景を堪能した。 その間も、付いてまわるのは、美麗をはじめとした条件に合う女達だ。 「王、お水でございます。」 「有り難う。」 飲み終わった杯を、信寧王は美麗に渡した。 「そなた、名前は?」 「美麗と申します。」 「そうか。覚えておこう。」 その一言で、周りの女達は、ため息を漏らす者、感嘆の声をあげる者、それぞれだった。 「あーあ。もしかしたら、美麗に決まるかもしれないわね。」 「名前を聞かれたくらいで?」 「あら、私の時は目も合わせてくれなかったわよ。」 宴は明日の夜から始まると言うのに、既に美麗に決まったような、雰囲気だ。 それを見たお供の忠仁は、条件を出しておいてよかったと思った。 この村に行こうと行った時に、あまり乗り気ではなかったのに、こんなにも早く、妃が決まりかけるとは、考えもしなかったからだ。
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