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「これなら、山道とか歩いても大丈夫だと思うよ。サイズは合うかね?」
まりんが実際履いてみると、作りは簡単ではあるが履き心地もよく、そして歩きやすいように軽く出来ていて、見た目よりも頑丈で耐久性もありそうだった。
まりんは、「旅のくつ」を手に入れた。
「それから、ケンタの奴から色々街の話を聞いててさ。あいつも他に言う人もいないのか、あたしには色んなこと話してたからねえ、自慢げに。で、こういうの作れる? って言われて、試しに作ったのがあってさ……」
ヌシおばさまは、皮で出来た、袖なしの衣服を取り出した。
「なんかね、戦いの時に身を守れるような服とか言ってさ。戦いなんて考えたこともなかったから、どんなもんかねえと思いながら作ったんだけどね。これも、この村じゃ使うこともないからさ。良かったら、持ってきなよ」
それは表面をなめし皮で覆い、しかし靴と同じく着ても重みになるようなことはなく。そして、ある程度の厚みがあるので、ナイフのような武器なら貫通するのを防いでくれそうだった。
まりんは、「皮の防具」を手に入れた。
「そんでこれは、ケンタの話を聞いて、あたしも少しその気になって、町から来た商人から買ったんだけどね。なんか、身を守るものとかあった方がいいのかもなんて思ってね。結局、こないだも使わず仕舞いだったけどね」
ヌシおばさまはそう言いながら、刺繍の糸を巻いてあった黒く短い棒を取り出し、糸をほどいてまりんに見せた。
「これ、普段はただの棒みたいだけど。こうすると……」
おばさまが棒の端を指で軽く押すと、その先端から、しゅっ! と短い刃物が飛び出た。
「ごくごく、簡単なものだけどね。試しに買ってみたけど、案外しっかりしてるし」
おばさまは棒を持ちながら、刃物の先でコツコツと壁を叩いたが、飛び出した刃物は棒の中に納まることなく、しっかりと固定されていた。そこでおばさまが刃物を出した時のように棒の一部を軽く押すと、今度は刃物が、しゅっ! と中に納まった。
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