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「半分おもちゃみたいなもんだけどね。若い女の子が旅をするのに、身を守る道具としては、あった方がいくらかましだろうよ」
「ありがとう……!」
まりんは、「飛び出すナイフ」を手に入れた。
「本当におばさま、色々お世話になりました。ありがとうございました!」
まりんはヌシおばさまに、深々と頭を下げた。そんなまりんを見て、おばさまは照れくさそうに笑った。
「よしとくれよ、そんな仰々しい挨拶。でも、ナツミちゃんも言ってたけど、また戻ってくるんだよ? もっと色んな刺繍、教えてあげるからさ」
「はいっ!」
まりんはヌシおばさまと固く抱き合い、刺繍ものの家屋を後にした。
そしてまりんは再び、あの洞穴の前、ケンタの墓の前に立っていた。
ケンタ、本当に色々、ありがとう。ケンタがいてくれたから、あたしこうやって、この世界で生きていける。冒険にも旅立てる。ここに、こうして立っていられる。全部、ケンタのおかげだよ。絶対また、ここに戻ってくるから。めちゃくちゃ成長して、レベルアップして。そして、二人で帰ろう。元の世界に。
まりんはお墓に向かって静かに手を合わせ。そして、旅立つ用意を整えたレーソスの方を向き直った。
「ではまりん殿、行くとするか」
「はいっ!」
まりんは、元気よく答えた。
足手まといヒロイン・まりんの冒険の旅は、まだ始まったばかりだった。
──第一部・完──
and to be continued……!!
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