第一章

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 のび太……いや、ケンタの話を聞いて、まりんは「はあ……」と深いため息をついた。確かに、あの鏡を見つけた時。そして、家に持ち帰って、自分のこの衣装を見た時。運命みたいなものを感じたりしたけど、まさか、こんなことになるなんてね……。でも、これが運命だとしたら、いったいどんな「運命」なんだろうね……?  ここまで自分の、この世界に来てからの物語を語っていたケンタだったが。まりんのその言葉を聞いて、目を輝かせた。 「そう。そうなんだ。君の、運命! いいかい? 僕がこの世界に来ても、何も起こらなかった。君と同じように、出口かもしれないあの鏡を探したりしながら、この世界を歩き回ったけど。本当に、『何も起きなかった』んだ。でも」  その後に、まりんをキラキラと輝く目で見つめながら話したケンタの言葉に。まりんは一瞬、気を失うかもしれないくらいの衝撃を受けた。それは本当に、思いもかけない「言葉」だったのだ。 「でも、君は……君がこの世界に来たとたん、君を出迎えるように家が建ち。更に、君が出かけたすぐ先に、この兵士が倒れていた。わかる? 『イベント』が発生したんだよ! そう、間違いなく。君は、この世界の『ヒロイン』なんだ……!!」 「村娘」の格好をして、地面に座りこんでいたまりんの頭に、その言葉が強烈に響き渡っていた。  私が、ヒロイン。この世界の、ヒロイン……!!
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