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「夏川君って、少し変わってるよね?」
私は何の躊躇も無く答えた。それがこの場合正しい受け答えなのだと疑う自分はここには居無い。相手が男子であることからか、余計に誰に気兼ねすることも無く答えることができる。たとえ、少し変わっているかどうかのジャッジをする程親しくなくとも。実際夏川君は5年生の時隣のクラスに転校してきた男の子だった。真偽の疑わしい噂話は多少耳にしても、話したこともなければ接したこともない、つまり何も知らないに等しい人だった。
ふうちゃんは私が話しに乗ってきたことを肌で感じると、待ってましたとばかり詰め寄った。
「5年の時、夏川君と同クラだったカンちゃんが言ってたの。何を話し掛けても薄い反応しかしなくて、昼休みになると一人で本ばかり読んでるんですって。」
「ふーん、大人しい人なのかな?」
「さあ、皆が嫌いなんじゃない? 田舎者だって思って馬鹿にしているのよ。ほら、東京からきたから私たちみたいな品の無い遊びはしないのよ」
「わかる。なんか取っ付き難そうな感じだよね。関わるなってオーラだしてるよね。やだな、そんな人。別に一緒に遊ばなくてもいいし」
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