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二.
きっかけは今日の昼休み。トシは図書委員の当番で図書室にいた。私も次の時間の予習をしに、図書館を訪れていた。自習用の机で取り組んでいたのだが、ふと肩を突かれ顔を上げると眼鏡をかけたトシがいた。彼は授業中や何かの作業をする時は眼鏡をかけている。
私は小声できいた。
「どうしたの?」
「ごめん、ちょっとだけ当番代理頼んでも良い?」
「? いいけど……」
私は首を傾げながら教科書とノートを閉じ、筆箱と共に一式を持ってカウンターの中に入った。図書委員の経験はあるので、仕事内容は分かる。
「十分くらいで戻って来れると思うから」
トシは片手で私を拝み、小走りで廊下に向かった。そのトシの背中越しに、一人の女子生徒の姿が垣間見えた。あれは誰だろう?
あまり女子と会話をしている所を見たことがないトシにしては珍しいなと思ったが、その時は深く考えなかった。その後十分ほどしてトシはもどり、いつも通りに当番をこなしていた。
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